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Facebookで地図を色分け

Facebookのデータを使って、アメリカを七つに分けてみたというエントリー:

PeteSearch: How to split up the US

My latest visualization shows the information by location, with connections drawn between places that share friends.

点はユーザーが存在する都市で、線はfriend関係を指しているようだ。州レベルや国レベルのバージョンも用意されている。friendが出来るのはその場所に学校・仕事などで住んだことがある場合がほとんどなので、人々がどう地域間を移動しているかを間接的に表している。さらに、クラスター毎にどのような人やグループが人気なのかも分かる。

ニューヨークからミネソタにかけてはあまり移動がないようでStayathomiaと名付けている。この地域はGodの人気がなくビールやスポーツが人気だそうだ。

Dixieはアトランタを中心とした地域で同じく閉鎖的。南にフロリダだけは別枠で東海岸の都市と強いコネクションがある。これはフロリダに移住する人が多いからだろう(Facebookには中年以上のユーザーも多いし、子供もいれば反映される)。この地域はGodがファンページのトップにくる宗教色の強い地域だ。

Greater Texasは名前通りTexasのDallasを中心としたクラスター。どの都市もDallasと強いコネクションがある。やはりGodが人気。ルイジアナのAlexandriaではAhmed、Mohamedが二番目、三番目に多かったり、テキサスのLaredoではJuan, Jose, Calros, Louisが最も多かったり、地域色が出ていて面白い。

Mormoniaはモルモンとの関連があると思われる地域で、外部とのコネクションが少ない。

Nomadic Westは中西部のだだっ広い地域で、コネクションが遠距離に渡っているのが特徴。外に出て行くほかないということだろうか。Starbucksが人気(?)だそうだ。

Socalistanはカリフォルニアをカバーする。公立大学のシステムからいって州内での(特に若い世代)の移動は盛んなので人口の多いカリフォルニアがクラスターになるのは理解出来る。Socalというのは南カリフォルニアのことでLAが中心であることを示している。ちなみにサンフランシスコではオバマが最も人気のある人物だそうだ。

最後はPacificaでこれはシアトル近辺のクラスターだが、特筆すべき情報は公開されていない。

この分割は数学的アルゴリズムで得られたものではなく、目視で色分けした程度のもののようだが、コメント欄などから察するにアメリカ人の感覚には近いようだ(逆にその感覚によって色分けが影響されている面があるのだろう)。

なくなるストライキ

先日、次のような言説を紹介した:

テレビがいうところの自分が悪いという若者の論理がよく分からなかった。大不況になってもストライキひとつ起きない。デモもない。ネットでぶつぶつ不平をつぶやくらいだ。

しかし、大不況になってもストライキが起きないのは何も日本だけではない。ちょうどよくアメリカでのストライキの話があった。1,000人以上の従業員が参加したストライキの数を表したグラフだ:

Strikes and Lockouts at Record Low – Economix Blog – NYTimes.com

アメリカでもストライキの数は1980年前後に激減している。

The stoppages last year involved 13,000 workers and accounted for 124,000 lost workdays, both of which were also record lows.

昨年からの不況でも、その減少は続き過去最低となっている。雇用が保障されているのでなければ、不況時にストライキを起こすインセンティブは小さい。転職するのは難しいし、ストライキで業績が悪化すれば元も子もない。

ストライキが減っている理由としては、労働組合の減少および公的セクターへの移動や経済のサービス化が挙げられている。前者はアメリカでは顕著だ。後者についてはストライキの企業へのダメージが大きくなったということだろう。従業員にとってもストライキを実際に実行して会社に損害を与えるのは目的ではないのでストライキが減る原因となる。雇用の流動化も大きな原因だろう。企業にとっては働かない社員を解雇するのが簡単だし、従業員にとっても不満があれば組合活動をするのではなく転職すればよい(そしてその方が社会的にも無駄がない)。どちらも難しい政府部門に組合活動の中心が移行したのも自然な流れだろう。

アメリカの若者が「自分が悪い」と考え困っているという話は聞かないし、むしろ過剰なself-entitlementが問題となっている。ストライキの減少と若者の風潮を結びつけるのは無理がある。

テレビがいうところの自分が悪いという若者の論理がよく分からなかった。大不況になってもストライキひとつ起きない。デモもない。ネットでぶつぶつ不平をつぶやくらいだ。テレビがいうところの自分が悪いという若者の論理がよく分からなかった。大不況になってもストライキひとつ起きない。デモもない。ネットでぶつぶつ不平をつぶやくらいだ。テレビがいうところの自分が悪いという若者の論理がよく分からなかった。大不況になってもストライキひとつ起きない。デモもない。ネットでぶつぶつ不平をつぶやくらいだ。テレビがいうところの自分が悪いという若者の論理がよく分からなかった。大不況になってもストライキひとつ起きない。デモもない。ネットでぶつぶつ不平をつぶやくらいだ。

アメリカのボランティア参加

アメリカ人のボランティア参加に関するデータがNYTで紹介されている:

Where Do You Volunteer? – Economix Blog – NYTimes.com

元データはBereau of Labor StatisticsのVolunteering on the rise: September 2008-September 2009だ。人口の26.8%がボランティアに参加しており、これは大体6,340万人ほどになる。2007年から上昇基調だ。不況のせいと考えられるが、参加が増えているのは不況による失業の比較的少ない女性で(注)、男性は横ばいとのこと。

参加しているボランティアの種類はパイチャートになっている:

宗教(Religious)が1/3以上を占めており印象的だ。

Among all volunteers, the demographic group most likely to report that they mainly volunteer for their religious organizations were those without a high school diploma. Among volunteers who didn’t graduate from high school, 47.1 percent say that they mainly volunteer for a religious organization.

宗教をボランティアの対象と選んだ人の割合は高校を卒業していない層で最も高く、なんと47.1%にのぼっている。日本で似たような統計はあるのだろうか。

(注)In a First, Women Surpass Men on U.S. Payrollsによると、史上始めて給与所得者数で女性が男性が上回ったとある。これは男性の方が景気に左右されやすい業種についているということもあるが、男女差が消滅しつつあるのは事実だ。

政治では事実よりもストーリー

最近興味のある話題にぴったりの記事がBBCから:

BBC News – Why do people often vote against their own interests?

マサチューセッツで民主党が議席を失ったことは大きな反響をよんでいる。これによりオバマ政権が医療・健康制度改革を成し遂げることはより難しくなっている。そして、医療制度改革に反対している人々の多くは、まさに新しい制度により助けられる人々だ。どうしてこのような事態が生じるのか。

If people vote against their own interests, it is not because they do not understand what is in their interest or have not yet had it properly explained to them.

人々が自分の利益に沿わない投票を行うのは、自身の利害を理解していないからでも適切な説明がなされていないからでもないという。

They do it because they resent having their interests decided for them by politicians who think they know best.

There is nothing voters hate more than having things explained to them as though they were idiots.

有権者は政治家が知った顔で選択を押しつけることに憤っているし、何よりも子供相手のようにいちいち説明されるのが嫌いなのだ。

As the saying goes, in politics, when you are explaining, you are losing.

説明をしている時点でもう負けているという。気が滅入るような話ではある。

Gore: “Under the governor’s plan, if you kept the same fee for service that you have now under Medicare, your premiums would go up by between 18% and 47%, and that is the study of the Congressional plan that he’s modeled his proposal on by the Medicare actuaries.”

Bush: “Look, this is a man who has great numbers. He talks about numbers. I’m beginning to think not only did he invent the internet, but he invented the calculator. It’s fuzzy math. It’s trying to scare people in the voting booth.”

Mr Gore was talking sense and Mr Bush nonsense – but Mr Bush won the debate.

しかし例として挙げられているブッシュとゴアのやりとりを見れば頷かざるをえない。ゴアはメディケアのプレミアムについて数字を出して論じ、ブッシュはそれを皮肉っている。ブッシュの発言部分なんて読んでいて吹き出してしまうレベルだが、ディベートに勝ったのがブッシュだが笑ってもいられない。

[…] stories always trump statistics, which means the politician with the best stories is going to win […]

統計よりもストーリーが大事であり、勝つのは最もいいストーリーを持っている政治家なのだ。間違ったことをいってはいけないが、本当に人を動かそうとするならうまい話を考えることの重要性も忘れていはいけない。政治はこの微妙なバランスで成り立っている。そしてそれゆえに、支持の得られない正論・道を踏み外したポピュリズムがどこの国にでもあふれているのだろう。

反知性主義の広がり

面白いと思ったけど紹介していなかった記事:

Op-Ed Columnist – The Tea Party Teens – NYTimes.com

The public is not only shifting from left to right. Every single idea associated with the educated class has grown more unpopular over the past year.

アメリカでは将来見通しが暗くなり、現政権そして政府一般への信頼が揺らいでいるが、さらには教育水準の高い層に関連付けられる考えが一様に支持を失っているようだ。

The educated class believes in global warming, so public skepticism about global warming is on the rise. The educated class supports abortion rights, so public opinion is shifting against them. The educated class supports gun control, so opposition to gun control is mounting.

例として温暖化、中絶権、銃規制などが挙げられている。どれも教育水準の高い層では支持されているが、一般からの支持は落ちる一方だ外交に関しても同様で孤立主義が台頭してきていることが指摘されている。

The tea party movement is a large, fractious confederation of Americans who are defined by what they are against. They are against the concentrated power of the educated class. They believe big government, big business, big media and the affluent professionals are merging to form self-serving oligarchy — with bloated government, unsustainable deficits, high taxes and intrusive regulation.

これを象徴するのはTea Partyだ。ボストンのそれにちなんだティーパーティー運動に関して日本でどれほど報道されているか分からないが、大きな政府、大企業、巨大メディア・裕福な専門家が国を支配することへの反対運動だ。金融安定化法に端を発するティーパーティー運動への国民の支持は高く、二大政党をも上回る勢いのようだ。

The Obama administration is premised on the conviction that pragmatic federal leaders with professional expertise should have the power to implement programs to solve the country’s problems. Many Americans do not have faith in that sort of centralized expertise or in the political class generally.

オバマ政権は政府の抱える問題を現実感覚のある専門家の手に委ねるべきだとしているが、アメリカ人がそういった中央集権的な専門家へ寄せる信頼は揺らいでいるという。

これは一般にAnti-Intellectualismと呼ばれる現象で、反知性主義と訳される。その反対が「国家」におけるプラトンの哲人政治だろう。

… either philosophers become kings in our states or those whom we now call our kings and rulers take to the pursuit of philosophy seriously and adequately, and there is a conjunction of these two things, political power and philosophic intelligence, while the motley horde of the natures who at present pursue either apart from the other are compulsorily excluded, there can be no cessation of troubles, dear Glaucon, for our states, nor, I fancy, for the human race either.   (Republic, 473c-d)

哲人政治では、哲人という全てを修めたような人間が為政者になることで社会がよくなる。ただこれは共産主義と同じで、その哲人のインセンティブと能力の問題を無視している。プラトンなら哲人はイデアを見ているので能力には問題なく、私有財産の禁止と幼少期からの教育によってインセンティブの問題は解決できると言うのだろうが、現実にはそうはいかないのは共産主義の失敗からも明らかだ。だからこそ民主主義という政治形態がその多くの欠陥にも関わらず、世界中で支配的になった(言うまでもなく民主主義が生き残ったのはそれが「正しい」からではない)。

政治家や政策に関わる専門家はこのことを常に頭の隅に置いておく必要がある。どれだけ正しいことを言っていても市民の支持が得られなければ通らないし、そのシステムにはそれなりの合理性がある。反知性主義が起こるのは、市民の不信が限度を超えたときだ。どれだけバカバカしくとも、そのシグナルに耳を傾けなければ、単なるポピュリストが権力を握る危険がある。

http://fukui.livedoor.biz/archives/2130436.htmleither philosophers become kings